動物法務についての取材 – ペット信託・高齢者分野

2015-07-30

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今回は雨降る中、取材を行う為に名古屋市瑞穂区にある法務総合事務所へ伺いました。

今回取材させて頂いた方は、行政書士・社会保険労務士・マンション管理士・愛玩動物飼養管理士1級等の沢山の資格や肩書と共に、地域住民の皆様へ日々法務についてご尽力されている佐野総合事務所所長の佐野実哉( さのじつや )先生です。今回は動物という観点からではありますが、法務という専門的立場から様々な現場の声を伺う事が出来ました。

佐野さんは、普段外国国籍の方々への国際結婚・在留及び帰化申請、建設業や産廃業等の許認可申請業務を行ったり、社会保険・年金・労働トラブル・マンショントラブルなど日常に起こる身近な問題を他担当職員皆様と共に解決に導くサポートを仕事としている個人事業の代表者です。

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※画像は佐野総合事務所HPより抜粋

そのような業務を行う現場において、以前動物を飼っていた事や今後の需要も鑑みて、愛玩動物飼養管理士を取得し、全国規模の動物法務協議会の東海支部長をも務められています。尚、動物法務とはペットトラブルを法的に解決する為の専門分野であり、近年需要が増している先駆的な市民窓口でもあります。

詳細は伝えられないと前置きをされた上で、佐野さんは動物法務に関わる現状についてこのように仰いました。

ペット信託の課題等

最近の問い合わせや相談としては、例えば獣医に対する対応不満や医療ミス、ペット購入時のブリーダートラブルなどがあるという事でした。実例としてはまだまだ少ないですが、今後益々増えてくる事が予想されるとの事で、過去にはなかった課題が現代社会にて徐々に表面化しているのではないかと危惧されていました。また、昨今注目を浴びている「 ペット信託 」につきましても、超高齢社会を迎えている現代においては必然的・魅力的な取り組みであり、一つのアプローチ方法やビジネス展開である事は前提としながらも、やはり様々な課題がある事をお話し下さいました。

そもそもペット信託とは、飼い主が自分の死後に備えてペット飼育を任せられる人を定め、その人にペット飼育費として残す財産を管理する為の仕組みの事をいいます。日本司法書士会連合会の河合保弘理事が考案し、2013年に商標登録された様です。手続きは信託法に基づいて行われ、まず飼い主は自身を代表にした管理会社を設立しペットに残したい財産を事前に管理会社に移します。更に、次の飼い主を受益者とする遺言書を記し、ペット信託契約書を受益者と締結する事で、遺産を飼育費として相続して貰う事が出来る様にする新しい信託サービスです。弁護士や行政書士などの監督人が、管理会社に移された財産管理や、新しい飼い主によるペットの飼育状況を監督する制度も設けられる様にもなってきているそうです。

只し、勿論メリットデメリット双方を考えていく必要があります。まずメリットとしては、飼い主が病院に入院したり高齢者施設へ入所したり、終末( ターミナル )期や認知症等になった場合でも、代わりの誰かが管理会社から飼育費等を受け取り、生涯そのペットの面倒見てくれるという「 お世話の約束( 保障・保険的 ) 」を行える安心感です。

しかし当然ですがデメリットも存在し、例えば受託者( 新しい飼主 )を誰にするのか、他にも会社設立という事は納税義務やペットが亡くなった後の会社清算等の課題は多岐に渡り、果たしてそこまで考えて専門家に依頼するのかという事も懸念材料としてあります。当然、解らないからこそ専門家を頼る訳ですが、その専門家もどれ程動物分野に精通しているかは不透明な部分もあります。  

更には、そもそも中低所得の方々の場合、そこまでの金銭的余裕があるのかどうかも心配な点です。結局、富裕層であるならばペットシェルターや老犬ホームに多額な入所料金を支払い、面倒をみて貰う体制構築が既に整いつつあるからです。

上記の様に沢山の課題がある中で、佐野さんもシステムが将来的に本当に機能するのか、社会的に浸透するか等、様々な点から危惧されていました。しかし、少しでも「 未来が不安定で不透明なペットと飼い主 」が、このような多角的なアプローチにより総合的な不幸を減らせる様、今後も専門家としても取り組みを続けていく必要があると力強く語って下さいました。

高齢者分野における動物法務

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最後の質問として、高齢者分野における動物法務についてご回答願いました。

佐野さんは、上記同様に独居の方や認知症の方々が飼育する動物問題は、今後益々増えていく事を大前提としながらも、可能ならば自身の様な各地域の専門家に事前に相談してほしいと訴えられました。また、全ての問題に通ずる事と前置きした上で、「 人は困った時に初めて門を叩く 」と語り始めました。続けて、「 私達法務の専門家としては、何か起こってから相談に来られても出来る事が少ない場合もあります。可能ならば、基本的には一人で問題を抱え込まず自分自身のみで判断しないでほしい。皆さんも経験があるかも知れませんが、良いと思って行った動作が必ずしも最善の行動でない場合もあるかもしれない、そうした時に私達が第三者の観点から皆さんの抱える課題に冷静に介入出来る存在になるのです! 」と想いを込めてお話し下さいました。

確かに最近では、動物法務に関わりそうなニュースだけみても、大型犬が地域住民や小型犬などを咬んでしまった事件や、外来種放置・放流等の為に爆発的な繁殖を引き起こし、在来種を捕食・殺傷してしまう事による生態系破壊等ともっと多くの課題が山積している様にも感じます。そうした事も、飼育者一人一人が動物を飼っているという観点から「 何か起きるかもしれない! 」という前提をしっかりキーワードとして心に持ち、保険・保障となるものを各々が用意しておかなくてはいけない時代であるとも教えて頂きました。

更に、この少子超高齢社会・人口減少・対人関係希薄化等の時代変化と共に、これからも様々なニーズが各現場や分野で起こると思いますが、独りだけの問題にする事なく、専門職も含めた皆で話し合い考えていく体制を作ると共に、様々な問題を受け入れ対応出来る窓口設立も必要になってくると感じるとの事でした。

取材を終えた頃には45分経っていました。本当に沢山の現場の声を聴く事が出来たと共に、佐野さんのご依頼者に対する真摯なお気持ちが強く伝わる取材となりました。また、事務所就業後というお疲れの中にも関わらず、気さくに温かくご対応頂けた事に改めて感謝申し上げます。

動物法務という専門性はまだまだ始まったばかりの分野かもしれませんが、こうした想いを持つ総合的な法務事務所が近所にあるという認知が進んでいけば、地域住民の方々にとって本当に心強い存在になっていくだろうと感じました。この度は、取材にご協力頂き、誠に有難う御座いました。

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(所長 佐野実哉さん)

中央政策研究所名古屋支部 
アニマルズ119プロジェクト 
主任研究員 向宇希


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