[環境省取材]殺処分数削減に向けての取組と国の役割

2014-10-23

kankyoushou

こんにちは、研究員の向です。
今回、環境省 自然環境局総務課 動物愛護管理室に取材を行う事ができました。

下記、その取材内容を記載しご報告致します。

人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト

今回の取材で、環境省が昨年11月より開始した「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」について、室長補佐の中島勇雄氏と動物愛護管理係長の菅野康祐氏にお話をお伺いする事が出来ました。

お二人にはお忙しい折、突然の取材依頼にも関わらずスケジュール調整を行って頂き、今回の取材が実現しました。この場をお借りして、改めて御礼を申し上げます。

私はアニマルズ119プロジェクト研究員として、上記プロジェクトと同様の想いを掲げ取り組みを行っている立場として、国としての方向性や具体的なアクションプランに尽きましてご意見を伺いました。基本的な内容に関しましては、環境省HPのアクションプランをご一読下さい。
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/project/

生体販売と法律

今回、私が特に伺いたかったのは、我が国における「生体販売」等についてどの様な価値観の下、動物の愛護及び管理に関する法律 (動物愛護法) の方向性を描き、殺処分削減の為に本プロジェクトがどの様な役割を担っていくのかという点でした。

まず最初に質問させて頂いたのは、アクションプランに記載されておりますブリーダーやショップ等の飼育施設適正化についてでした。特にドイツなどの法律や取り組みを例に、日本の現状と今後に向けての方向性を伺いました。

動物愛護先進国と言われるドイツにおける動物保護法や犬の保護に関わる条例では、生体販売は完全に禁止されてはいません。その代り、飼育面積や飼育環境整備、人や他の動物との接触機会等が実は厳しく定められており、その条件がクリア出来ない場合が多い為、結果としてペットショップでの生体販売や素人繁殖や乱繁殖を防いでいるという現状にあります。

その為犬を飼いたい人は、各犬種クラブ公認の正式なブリーダーから犬を購入して、購入後も犬税を払いながら厳しい法や条例に沿って適正に飼わなくてはいけません。勿論、ドイツの動物孤児院(ティアハイム)から譲渡を受ける場合もあります。因みに仲介率は9割を保ち残りの1割は院内での自然死と言われ、全国に700もある動物保護団体や地域との連携の下、このような現状が企業協力や法や教育等も相俟って生れているのだと感じます。

このような先進国に対し我が国も対策に力を入れております。お二人からの返答はこのようでした。

動物取扱業の適正化の推進、規制強化という観点から、第1種動物取扱業(ペットショップ、ブリーダー等)の登録条件の厳格化や従業員1名あたりの飼養頭数制限、販売後の終生飼養困難な動物の引取り制限、更には生体販売や移動販売の原則禁止等の制限など様々な方々から頂戴した各種の意見をプランに記載させて頂いたというご返答を頂きました。ただ現時点でドイツの様な法整備をすぐに行う等は困難であるため、飼養施設の適正化等についてはガイドライン等を示すことで国民の理解や業者の協力、販売店の取り組みに期待したいという事でした。

そしてお話を伺い取材を進めていく上で、それぞれの国における「人と動物の共存・共生の在り方」 を国民全員が考えていく必要があると改めて感じました。

例えばドイツは上記の様に厳しい条例を定め、国全体として保護を徹底している印象を受けます。それに対し、一例ですがフィリピンなどでは人に飼われる事もなく犬が自由に歩き回り、まるでそれぞれの世界の中で暮らしている様な自然な共生が成り立っているところもあると聞きます。因みに、そのような犬は衛生面や健康の問題はありますが、それでもその地域で「共に暮らしている」訳です。

どの様な共生・共育がその国にとって適当で、それぞれの幸福感に繋がるのかは今一度みんなで考えていく事なのかもしれません。私は取材の冒頭で、そのような事を少し感じながら取材を進めました。

参考:dog actually 犬を感じるブログメディア

生体販売事業者での取り組み

seitaihanbai

さて本題に戻りますが、このような生体販売に尽きまして関連企業に対し、何かアクションを検討されているかもお伺いしました。現在は特に具体的なプランはないものの、現在、取り組みをしている自治体や企業をホームページで紹介をしているとのことでした。

例えば、イオンペットさんの譲渡会(PECOSレイクタウン店にて常設セカンドパートナー募集コーナー)などの取り組み(http://www.aeonpet.com/lifehouse/)や愛媛県動物愛護センターと株式会社愛媛銀行が共同で、銀行の支店で移動犬猫譲渡会を開催したりと各地で様々な取り組みが拡がりを見せているとの事でした。

地域を挙げてこのような取り組みを行う事で、地元企業がその土地に根付いていくと共に、地域への地元意識が強まる可能性も秘めているのだろうと、お話を伺いながら感じました。

本プロジェクトHPにもこのような自治体との連携の取り組みを掲載・紹介しており、少しでもそこから新たな活動を全国に発信していけたらと力強く語って下さいました。

動物愛護と教育

続きまして、資料のモデル事業の中で記載がありました、自治体や学校等の教育機関との連携や低年齢からの動物愛護福祉教育についての重要性を伺いました。

最近、色々ニュースとしても話題に上がっている児童教育の観点です。例えば、公設民営化学校特区解禁や道徳教育を特別教科に格上げ等、少子化や犯罪の低年齢化等が進む中でこのような教育的話題が近年多くなっている様にも感じます。そのような中で、動物愛護にかかる教育も、やはり若い時から、このような意識や価値観・知識・経験を持つ事は、とても重要なので取り組んでいきたいとお話されていました。

例として、奈良県が力を入れている「うだ・アニマルパークいのちの教育」推進を教えて頂きました。奈良県が目指す「いのちの教育」とは下記の3点です。

  • 動物への思いやりを深め、「いのち」の大切さを実感させる。
  • 他者との関わりを深めながら、情操を豊かにする。
  • 野生動物を含む自然環境の保護についての理解を高める。

そして奈良県の「いのちの教育プログラム」は以下の内容で構成されています。

  • 張り子の動物を使ったボードでの学習
  • プログラムの内容をまとめた副読本
  • 書き込み可能な学習シート

このような先駆的な取り組みが、さらに日本全国へ広がっていく事を願います。また皆様もご興味や関心があれば、是非ご覧頂きたいと思います。
http://www.pref.nara.jp/dd.aspx?menuid=28335

今後の課題や方向性

最後に、本プロジェクトの今後の課題や方向性等、展望に尽きましてご意見伺いました。

全国各地で一生懸命、がんばって取り組んでいる様々な運動や活動をしっかりと集約していき、本プロジェクトを通じて、また全国へ発信していきたいとお話下さいました。そして、現在21万頭が1年間に自治体の保健所や動物愛護センター等に引き取られる犬や猫の数(平成24年度)なのですが、基本指針においてこれを平成35年度までに半分以下の概ね10万頭にしていく目標を掲げていると力強く仰っていました。

今回の取材でも解ってきた様に、全国にて様々な取り組みや運動がなされる事により、現在までに殺処分数は実際減少してきております。これは全国における様々な行政や団体、個人の方々の草の根的な取り組みが功を奏しており、大変素晴らしいものと考えます。只、環境省が未来に向けて掲げる目標においてはまだまだ課題が山積している様にも思います。悪意のあるブリーダーやオークション等の流通の仕組み、生体販売方法に販売時教育、一般的な動物飼育に関する意識改革に飼育放棄対策、殺処分方法や財政課題、法律改正等含む業者・飼い主・行政・+αの四位一体の改革が求められます。

30年ほど前から始まったペットブームに日本の法制整備を含めたインフラが整わなかった事により現代の課題が生れている様にも私は感じるのですが、環境省を初め日本中の様々な自治体や団体や個人が必死で取り組んでいる運動が、いつか動物保護や愛護・福祉の社会化に繋がり、環境省や各関係者が目指す目標に前倒しで、近付いていくと感じました。

2020年に東京オリンピックが開かれる時、世界から日本はどう観えるのか?温厚な仏教国としてのイメージがまだまだ強いとも言われていますが、先進国でもあるそのような印象の日本がこれだけの動物を未だ殺処分していると知ったら、世界はそれはどう捉え、日本人がどう映るのでしょうか?

今回の取材を通して、今私たちに大切な事は一人一人が意識を強くする事だと教えて下さった気がしました。きっとその先に、「日本らしい」人と動物の共生の在り方が見えてくるのかも知れません。

本取材にご協力を頂きました全ての皆様へ感謝致します。
有難う御座いました。

アニマルズ119プロジェクト
研究員 向宇希


映画「犬と猫と人間と」

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