名古屋市動物愛護センターへの取材

2012-03-12

「動物の“命”を考える」一つの取り組みとして、行政が動物に対してどのような取り組みを行っているのかを取材してきました。取材先は愛知県名古屋市役所の生活衛生センターおよび、名古屋市動物愛護センターです。

今回取材した中でも特に、名古屋市動物愛護センターの石川登紀子所長に伺った、動物の里親探しや殺処分の状況について報告したいと思います。

まず名古屋市の動物愛護センターでは狂犬病などの予防や殺処分等の業務を行う「管理棟」と、動物とのふれあいを行ったり、命の大切さを教える為の「愛護館」があります。

昭和60年の開設当初は「動物“管理”センター」等の名称が多い中で、全国に先駆けて「動物“愛護”センター」という名称にし、さらに「愛護館」が併設されました。

殺処分の現状

このような動物愛護/管理センターや保健所と聞くと、多くの犬や猫を殺処分している場所であると認識している方も多いのではないでしょうか。

では、実際どれくらいの動物が収容され、そしてどれくらいの動物が殺処分されているのかというと…

殺処分データ

これは平成22年度、名古屋市動物愛護センターでのデータです。
あなたはこのデータを見てどのように感じましたか?
処分されている数に驚きましたか?

これは同センターだけでのデータですので、日本全国で考えればものすごい数の犬や猫が処分されていることになります。一日で1,000頭もの動物が処分されているとも言われているほどです。

「かわいそう」「ひどい」「もっと助けてほしい」
もしかすると、このように感じている方もいらっしゃるかもしれません。
でも・・・

助けるための活動
竹中(Animals119取材担当):
多くの犬猫を殺処分しなければならない状況ですが、職員の皆様のメンタルケアなどはされているのでしょうか?またどのようなお気持ちで活動をされているのでしょうか?
石川所長:
特にメンタルケアはしておりません。それは、まず私たちは犬猫を殺すためではなく、“助けるため”に活動をしているという想いが強いからです。
確かに処分しなければならないのは辛いことですが、それ以上に犬猫が幸せになってくれた時の喜びの方が大きいので、その喜びを糧に前向きに活動をしています。ですから犬猫の幸せのためにも飼い主のフォローも積極的に行っています。

今回取材して特に感じたことがあります。それは石川所長のおっしゃるように、同センターの方々やその関係者の方々は「処分するために活動をしている」のではなく「できるだけ多くの命を助けるために活動している」ということです。

例えばどのような活動があるかというと…

・犬猫とのふれあいの場の提供
・飼い主に対してしつけなどのペットの正しい飼い方教室
・犬猫の飼い主募集、譲渡など

「ふれあいの場を提供したり、しつけ教室が処分を減らすために関係があるのか?」と疑問に思わるかもしれません。しかしこれらの活動も処分を減らすために必要な大切な活動なのです。

ふれあいの場を提供することは、例えばこれから犬や猫を飼おうとしている人に対して「ずっと愛情を持って面倒をみることができるのか」と考える機会になりますし、「ペットを飼うということは、かわいいだけでなく大変なことある」ということを知る機会にもなります。つまり「ペットを飼ってみたものの、予想以上に大変だから飼えなくなった」という状況を減らすことに貢献します。

そして何より、直接犬猫とふれあうことは生命の尊さや優しい心を育むことにつながります。

また、しつけ教室等を行うことで、例えば「ペットが飼い主の言うことを聞かず、手に負えなくなったから捨てた」という状況を防ぐことに役立ちます。

飼い主とペットがより良い関係を築き、両者がより幸せになる為の機会として利用すると良いのではないかと感じました。

譲渡の条件

できるだけ処分を減らすのであれば、譲渡を希望する方にどんどん譲渡していけば良いと考えてしまいますが、同センターでは譲渡の際、一定の条件をクリアしなければ譲渡を行いません。

まず、譲渡は無料ではなく有料です。
犬の場合は9,700円(狂犬病予防注射料、犬の登録・狂犬病予防注射済票交付手数料6,300円+マイクロチップ装着費用3,400円)。猫の場合は3,400円(マイクロチップ装着費用)が必要です。

マイクロチップ写真マイクロチップというのは、直径2?、長さ8?12?程度の円筒形の電子標識器具で、犬猫の頚部に注入します。それぞれのチップには15桁の番号が記録されています。この番号が動物の個体識別(身元証明)として利用されます。

竹中:
マイクロチップを装着させるメリットは何でしょうか?
石川所長:
マイクロチップを装着させることで、もし迷子になって捕獲された場合でも、データベースに登録されている飼い主の情報(連絡先など)を探すことができるので、飼い主のもとに戻っていく可能性が高くなります。ぜひ犬猫を飼われている方もマイクロチップの装着を検討してほしいですね。

また昨年の東日本大震災では、多数の犬猫が飼主からはぐれ、収容されているという現状があります。このような災害時でも、マイクロチップが装着されていれば飼主の元に返してあげることができます。
本市では東日本大震災の後、さらにマイクロチップの普及の必要性を感じ、マイクロチップの普及に力を入れているところです。

マイクロチップ装着を義務化することで、譲渡後に「やっぱり飼うことができなくて捨てる」ということを防止することにも役立つそうです。

さらに譲渡を申し込む際には、「犬・猫の飼養が可能な住宅に住んでいること」「家族全員の同意が得られていること」「家族の一員として大切に飼養すること」「譲渡後の飼養実態調査に協力すること」など、一定の条件をクリアする必要があります。

誰でも譲渡を行うわけではなく、しっかりと責任を持って大切に飼養ができる人にのみ譲渡を行うようにしているのです。

マイクロチップの読み取り

ペットを幸せにするのはあなた
竹中:
これからペットを飼おうと考えている方、今既に飼っている方に対して「これだけは解ってほしい」というメッセージはありますか?
石川所長:
まずペットを飼う時は、最期まで責任を持って世話をすることができるのかをよく考え、安易に飼わないようにしてほしい。
そして、ペットは自分自身で幸せになることはできません。飼い主がしっかりしないとペットは幸せになれないのです。ペットを不幸にするのも幸せにするのも飼い主であることを解ってほしいです。

「言うことを聞かない」「世話がかかる」など、ペットのことを悪く言う方がいます。しかしペットは飼い主の接し方次第で、その態度も大きく変わります。

言うことを聞かないのは、飼い主がずっと甘やかしてきて正しいしつけを行っていなかったからかもしれません。

世話がかかると言うけれど、かわいいだけでなく、大変なこともあることをしっかり考えずに飼いはじめたからかもしれません。

飼い主が家族の一員として愛情を持って、大切に飼養することでペットは幸せに生きていくことができます。ペットが幸せであれば、きっと飼い主であるあなたも幸せになれるでしょう。

 

このページでは、まだまだ取材してきたことでお伝えできていないことがたくさんあります。それはまた別のページで紹介させて頂きたいと思います。

※取材協力:
・名古屋市健康福祉局健康部食品衛生課
名古屋市動物愛護センター
(所長)石川登紀子氏

※取材担当:Animals119プロジェクト研究員 竹中文人


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